■第12代 理事長
北名古屋JC 山口央26理事長-3
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■スローガン

 「和を以って貴しと為す」

■所信

【はじめに】

―変化の時代に、青年会議所の意義を問う―
 コロナが世界を覆った数年間、私たちは日常の当たり前が一瞬で奪われる経験をした。その中で人と人の距離、働き方、学び方、余暇の過ごし方-全てが変わった。そして、社会はあの経験を経て、「もはやコロナ禍ではない」と言われる今もなお、新しい姿へと変化を続けている。価値観が大きく揺れ動き、「何が本当に大切なのか」考える機会も増えてきている。そんな今だからこそ、青年会議所の存在意義が改めて問われている。
 青年会議所は言わずもがな単なる交流団体ではない。より良い地域を目指す若き情熱を持った仲間の集まりである。しかしながら、その形や役割は時代と共に変わってよいものであり、むしろ変わらなければならないものでもある。「青年会議所ってこういうものだから」という考えだけではその本質を見失ってしまい、新しい発想も生まれない。青年会議所は何のために、誰のために存在しているのか、どこへ向かっているのか。今こそ私たちは自らに問い正す必要がある。

【私にとって第二の故郷 北名古屋市】

―「ゆめひろがる。このまちと。」― 

 私が北名古屋市に住み始めたのは四年前。家を建て、家族と共に新しい生活を始めたこの街は、今では私にとって“第二の故郷”となっている。名古屋市へのアクセスが良く、都市としての利便性を備えながらも、自然や人の温かさが残る程よい田舎。その暮らしやすさに、この街の魅力を感じている。公共施設も充実し、夏祭りでは市民が世代を超えて笑顔で踊る。近所の方々が声をかけてくれる光景も日常の一部であり、地域全体で子どもを育てる環境が自然に息づいている。そんな日々の中で、私は何度も「北名古屋市を選んでよかった」と感じてきた。
 そして本年、北名古屋市は市制二十周年という大きな節目を迎える。市制二十周年のキャッチフレーズである「ゆめひろがる。このまちと。」。この言葉には、この街に暮らす人々の想いが込められているように思う。夢を持ち、この街と共に歩む。その姿勢こそが未来への希望である。私もこの街で暮らす一人として、この節目の年を迎えられることを誇りに思う。家族と共に過ごす日々を大切にしながら、仲間と力を合わせて、この第二の故郷をより良い未来へと育てていきたい。

【共創まちづくりへの参画】

―想いを寄せ、共に歩むまちづくり―
 北名古屋市では、行政や企業、地域の団体、そして市民一人ひとりが、それぞれの想いを持って、まちの未来に心を寄せている。さまざまな立場の人が力を合わせ、協力しながら、新しいまちの姿を少しずつ描き出している。
 私たち青年会議所も、このまちで暮らす仲間の一人として、その輪の中に加わり、ともに歩んでいきたい。青年会議所は決して特別な存在ではない。同じ想いを持つ仲間として、地域の声に耳を傾け、日々の活動を通じて、人と人とのつながりを少しずつ広げていく存在でなければならない。地域の課題や市民の声に寄り添い、できることから取り組む。小さな一歩の積み重ねが、やがてまちの力になると信じている。「共創」とは、誰かが主導するものではない。互いを尊重しながら、共に進む中で生まれていくものだ。私たちはその輪の中で、まちを想い、まちと共に生きる一員として歩みを重ねていく。

【まちを誇りに】

―文化と芸術、そして自然を紡ぐ―
 市制二十周年という節目にあたり、北名古屋市のこれまでの歩みを振り返る。この街には、先人たちが築き上げた歴史と文化、人々の暮らしを包み込む自然が息づいている。 毎年夏に開催される「きたなごやハート フェス(旧平和夏祭り)」では、市民が世代を超えて集い、北名古屋音頭の輪の中で笑顔を交わしており、まちの一体感を感じることができる。「昭和日常博物館」には、時代を越えて受け継がれた暮らしの記憶が残り、そこには人々の知恵や優しさ、そして未来を想う心が宿っている。また、北名古屋市は「芸術の街」としての顔も持つ。音楽や絵画・モニュメントが人々の感性を刺激し、新たな表現や出会いがこのまちに息吹を与えている。五条川や新川の流れ、季節ごとに色を変える田畑の風景。その穏やかな自然の営みは、都市の中にあっても、豊かさと安らぎをもたらし、私たちがこの地で暮らす幸福を静かに教えてくれる。
 文化も、芸術も、自然も――そのすべてが北名古屋市の原点であり、未来を形づくる力でもある。市制二十周年は、それらを再び感じ、誇りとして紡いでいく節目の年である。歴史や文化、自然を通じて、このまちを想う心―シビックプライドを磨き、高めていくこと。それこそが、これからの北名古屋市をさらに前へ進める力になる。
 私たち青年会議所は、このまちの文化や芸術、自然に触れながら、その魅力を市民の皆さまと分かち合い、次の世代へと受け渡していく。特別なことではなく、日々の活動の中で感じることを大切にしながら、北名古屋市がこれからも心地よく暮らせるまちであるよう努めていく。

【子どもたちの未来のために】

―思いやりの心と考える力を育む―
 インターネットやSNSの普及により、子どもたちはこれまで以上に多くの情報へ自由にアクセスできるようになった。近年では小学校でも一人一台のタブレット端末が配布され、子どもたちは日常的にオンライン環境の中で学び、交流するようになってきている。その一方で、誤った情報や悪意ある誘導に巻き込まれたり、誤った情報によって他人を傷つけてしまったりする事例も増えている。今の時代は、一つの行動が瞬時に多くの人の目に触れる可能性がある。昔ならいたずらで済んだようなことが、大きなトラブルや事件につながることもあれば、軽い気持ちで発信した言葉が誰かを深く傷つけ、取り返しのつかない結果を生むことも少なくない。
 そのため、現代の子どもたちには、自らの行動に責任を持ち、自分自身の身を守る力を身につけることが求められている。もはや子どもたちは、親や学校に守られるだけの存在ではない。その中で重要となるのが「リテラシー」である。リテラシーとは、「情報を正しく理解し、活用する力」を意味し、知識よりも「理解・判断・実践」を重視する考え方である。単に知識を覚えることではなく、社会のルールを理解し、状況に応じて正しい判断と行動をとる力。それこそが、これからの時代に求められる生きる力である。
 リテラシーの向上は、単なるトラブルを防ぐための手法ではない。他者を思いやり、互いの違いを尊重しながら、安心して共に生きる社会を築くための基礎でもある。情報を正しく受け止め、相手の立場や気持ちを想像すること。自分の言葉や行動に責任を持ち、相手を尊重する姿勢を貫くこと。そこにこそ、「リテラシー」の本質がある。
 情報があふれるこの時代だからこそ、正しさだけでなく、優しさや思いやりをもって判断できる力が必要だ。その力が、他者への敬意を生み、地域の信頼を育て、やがては次の世代へと受け継がれていく。私は、そうした力を育てることこそが、これからの社会をより良くする礎になると信じている。

【会員の能力向上】

―他者に対する敬意と感謝―
 青年会議所の原動力は「人」であり、そこにあるのは仲間への敬意と感謝の心である。どんなに経験を重ねても、誰も一人で成長することはできない。支えてくれる仲間がいるからこそ、私たちは前へ進むことができる。能力の向上とは、単に知識や技術を磨くことではなく、他者に対する敬意と感謝の心を育てることである。他者の努力に敬意を払い、「ありがとう」と素直に伝えられる関係性の中でこそ、人は成長することができる。
 青年会議所は、そうした心を育てる場所である。敬意とは他者の努力や想いを認め尊重すること。感謝とは自分が誰かに支えられていることを自覚すること。その心を持って、人と関わることで、初めて真に信頼されるリーダーとしての成長が始まる。

【目指すべき組織運営】

支え合い、共に歩む組織へ―
 私たちがこれからも活動を続けていくためには、社会の変化や組織の実情を的確に捉え、それに応じた運営体制へと柔軟に整えていく必要がある。もちろん青年会議所の厳格な運営スタイルには大切な意味があり、それを守り続けることも重要である。しかしながら、時代の流れや会員数の変化、そして一人ひとりの入会背景やライフスタイルを踏まえ、形式にとらわれ過ぎず、互いに助け合いながら取り組むことが、今の私たちには求められる組織運営である。役割や立場に関係なく、必要に応じて手を貸し合える関係性を築くこと。情報をこまめに共有し、認識のズレや誤解を減らすこと。そして、誰かを置き去りにしない、無理のない活動環境を整えていくこと。そうした日々の積み重ねが、組織全体の信頼感や連帯感につながり、ひいては地域に対する責任ある運動へと発展していく。

【会員拡大】

―仲間の輪を広げるために―
 青年会議所の活動は、人によって支えられ、人によって広がり、人によって受け継がれていくものである。この街の未来を想い、行動しようとする仲間が増えることは地域の可能性を広げることに他ならない。
 そのために、まずは私たち自身がこの活動の魅力を心から感じられることが大切だ。青年会議所の一番の魅力は、特別な経験の中ではなく、日々の活動を通じて感じることができる「人とのつながり」や「自らの成長」にある。
 仲間と共に考え、悩み、挑戦する。その積み重ねこそ、私たちがこの組織に身を置く意義である。そして、何より大切なのは、私たち自身が心から楽しんで活動することである。楽しさを感じられない組織に加わりたいとは誰も思わない。仲間と笑い合い、悩みを分かち合い、目標に向かって真剣に取り組む。そんな時間があるからこそ、青年会議所は人が集まる場所になる。
 私は、青年会議所の魅力を難しい言葉で語るよりも、何より自分自身の楽しんでいる姿で伝えたい。会員一人一人が自分のペースで青年会議所活動を楽しむ空気感こそが何よりの会員拡大に繋がると私は考える。

【おわりに】

―このまちと共に、これからも―
 本年スローガンに選定した「和を以て貴しと為す」という言葉は、聖徳太子の十七条の憲法の第一条に記された有名な言葉である。この言葉を現代的に言えば、「人と人が争うことなく、互いに心を合わせて仲よくすることを最も尊いことだ」という意味になる。一見簡単なことのように思えるが、国家間はもちろん、家族や会社という小さな単位に置いても、これを実行できている人は多くはない。しかしながら、これを実現することこそが、組織や社会におけるもっとも大きな効率化であり、持続的な社会を作り上げるための基盤となると私は強く思う。
 北名古屋市は、都市としての利便性と、人と人との温かいつながりが共存するまちである。日々の暮らしの中で、子どもの笑顔に励まされ、地域の人の言葉に支えられながら、「このまちで暮らしてよかった」と思える瞬間がいくつもある。その積み重ねこそが、このまちの温かさを形づくっているのだと強く思う。そのまちをより良くしたいという気持ちは、誰にとってもごく自然なことであり、決して特別なことではない。
 私は、今年、市制二十周年という節目を迎える北名古屋市民の一人として、何より自分自身や家族のために、このまちをより良いまちへと育てていくことに力を尽くしたい。まちを良くしていくということは、大きな事業や特別なイベントを行うことだけを指すのではない。誰かのために少しだけ手を動かすこと、あいさつを交わすこと、地域の輪の中に顔を出すこと、そして地域のために自分の時間を使うこと。その何気ない一歩一歩が、まちの未来を少しずつ形づくっていく。私たち青年会議所は、そんな想いを胸に、このまちの一員として活動を続けていく。まちの人々と共に学び、共に考え、共に動くことで、北名古屋市に暮らすことへの誇りを育みながら、未来へとつながるまちづくりを進めていきたい。

 最後に、長年にわたり、ご支援とご協力を賜りました公益社団法人名古屋青年会議所をはじめ、各地青年会議所の皆様、そして、先輩諸兄。地域の行政、各種団体の皆様に感謝の意を申し上げると共に、今後も変わらぬご指導ご鞭撻をお願い申し上げ、私の理事長所信とさせていただきます。一年間よろしくお願いいたします。